本格的歴史格闘マンガ 古代ローマ帝国の奴隷 拳奴セスタス

「要するにオレには断れない話なんだろ
　結局オレはネロ皇帝から逃げられないのか」
　（『拳闘暗黒伝セスタス』　15巻より）

ローマ帝国最下層の身分に位置する少年拳奴
『神速の拳闘児』―――セスタス


ローマ帝国の時代。真の自由を欲する奴隷のセスタス。
父との葛藤の中でもがく天才格闘家ルスカ。
皇帝としての宿命を背負うネロ―――

帝政ローマ時代を生きる３人の少年たちを軸に、運命の歯車は、
クライマックスの終焉（しゅうえん）へ向けて廻りはじめる！

奴隷のセスタスにとって、試合は特別な祭りではない。戦士の
ように死を名誉とも考えない。闘いは日々こなしていく日課で
あり、それ以上でもそれ以下でもない。自分を導いてくれる師
ザファルの存在が、彼の唯一の光明。皇帝ネロとの邂逅（かい

こう）。それは、ローマ帝国の頂点に立つ者と、最下層の身分
に位置する者との出逢い。同年代の少年。少年皇帝ネロは、来
たるアルメニア戦役必勝を祈願、コンコルディア闘技祭を開催
するに当り使者を遣わし、拳奴セスタスに白羽の矢を立てます。



古代ローマ帝国の歴史背景　　３人の主人公の青春と人生が交錯

最強の栄誉と自由と賞金―――たとえ命令だろうと、足元を見た
上での巧みな誘いだろうと、絶好の機会には違いない。でも、
その手を逃れたつもりでも、ローマ帝国の皇帝の権力と情報網

のあまりの強大さの前に、彼は打ちひしがれてしまう。孤独な
ネロが皇帝の権力と富で、セスタスを自分の心の友としようと
するのだが、絶対権力をもってしても彼の心の 「自由」 までは

奪えなかった。ローマ帝国の当時の社会構造において、対極
する境遇に生れ育った二人の少年の人生と青春のコントラスト
が印象的。お金で自由になることと、お金では絶対に買えない

ものが人の世にはあるのだということを知った、ネロの怒りと
悲しさをセスタスにぶつけるシーンが哀切を誘う。皇帝と奴隷。

身分が天と地ほどの格差で二人を分かつとも二人はまだ、い
たいけな思春期の少年。二人の行く「道」は始めから違ってい
て、その二つの道が、たまたま同じところで重なってしまった。

だけどそれは、決して重なり合う事はない。それぞれの人生が、
生き様が、どのような形で互いに波紋を投げかけて行くのか。

そして、ルスカとセスタスの、ローマ帝国・コロッセオでの宿命の
対決。絶対に見逃せません！　その時が来るのを、一日千秋の
想いで待ち望んでいます。歴史好きの方におすすめの漫画です。